せどりはあらゆるネットビジネスの中でも収益化までの時間が短く、短期で大きな収入を生み出すことができます。
そのため、
そう考えて、日夜副業に燃えている人も少なくないと思います。
だけど、『せどり専業で生きていく』という選択は、大きなデメリットもあることを留意しておくべきですね。
以前僕は、当Life Buffering Mediaでせどり専業の注意点について記事を執筆したことがあります。
せどり専業を目指すサラリーマンに教えたい3つの注意点ちょうど2年ほど前の記事で、当時は副業でせどりをやっていたので転売専業で脱サラした友人にヒアリングしながら専業の注意点を洗い出したんですよ。
あれから2年経ち30代を迎えた今、僕自身もネットビジネスで個人起業を果たすに至りました。
しんどい仕事に耐え続ける30代へ伝えたい個人で働き方をつくる方法。ネットビジネスで収入を生み出せるようになったのは間違いなくせどりのおかげだし、せどりの実績を起点として脱サラ起業するに至ったのは紛れもない事実です。
ただ、僕の場合せどり転売を専業として生きていこうとは全く思っていなくて。
せどりはあくまで起業を目指す人が最初に手にする武器であって、ただ武器を装備しているだけでは「理想のライフスタイル」というラスボスに立ち向かっていくことは出来ないんですよ。
ちなみに、中小企業庁のデータによれば、2017年調べの日本における起業後の企業生存率は5年で81.7%とのこと。
引用元:2017年版 「中小企業白書」(第2部1章1節 起業・創業)
起業って危険なイメージがありますけど、5年で8割以上が生き残ると考えれば案外生存率は高いですよね。
このデータでは、個人事業主の生存確率は不明ですし、ネットビジネスに限定すると生存確率はどうなるかも一切不明です。
なので、一概に全てのビジネスが5年で8割も生き残るとは限りませんが、今後一生涯にわたって雇われずに働いていくために、我々個人起業家はその8割の生き残りに居座り続けなければなりません。
そういった意味でも、せどり転売を専業として脱サラすることの危険性をしっかり把握しておくことはとても重要だと思いますね。
ということで今回は、僕自身が今後個人起業家として生き残っていくため、せどり転売専業という道を選ばなかった3つの理由についてお話していきます。
安定収入を得るために複数の収入源を持っておくべきだから
1つ目の理由は、安定収入を確保する上でせどり専業という選択は危険と言えるからです。
複数の収入源を持っておいた方が、一方が事業が立ち行かなくなったとしても他方の事業で収益を確保できるので収入は安定します。
これは言うまでもないことですよね。
例えば、Amazonを販路としてせどり転売を行っていたとして、そのAmazonが手数料を一気に引き上げたり、最悪の場合Amazonが個人事業の出品者を締め出したりした場合、一気に収入がゼロになることもあるんです。
せどりは販路に依存するビジネスなので、その販路が「右を向け!」と言うと素直にそれに従うしかありません。
そのため、Amazonの出方次第では事業の継続すら難しくなることだってあります。
複数の収入源を確保するという意味では、例えば販路を拡げるという方法が考えられえますね。
せどり転売の販路拡大
- Amazon
- ヤフーショッピング
- 楽天市場
- ヤフオク
- メルカリ
- BUYMA
僕自身もAmazonの他にもヤフーショッピングで商品を販売したり、メルカリで在庫処分をしたりします。
販路はいくらでもありますから、手の届く範囲で拡大するにこしたことはありません。
ただし、ここで大事なポイントがあります。
販路を拡げることがリスク分散に繋がるのは間違いありませんが、やってることはどの販路でも「転売ビジネス」なわけです。
そのため、(考えにくいことですが万が一)転売ビジネスに何らかの規制が入ればそれだけで事業は立ち行かなくなりますし、転売ビジネスのデメリットを転売ビジネスで補完することはできませんよね。
だからこそ、転売ビジネス以外にも収入源を確保することをオススメします。
僕の場合は、情報発信に伴うコンサルティングやジョイントベンチャー、あるいは他のブログメディア運営といったビジネスにも取り組んでいますね。
特に、情報発信の力は絶大で、せどりの実績を活かして自然な流れでマネタイズできますよ。
そう思っている人はおそらく、「情報発信=せどりのコンサルで稼ぐこと」だと勘違いしているんじゃないかと。
もちろん、その認識で情報発信に取り組んでいる人も多いし、だからこそすごく視野の狭い情報発信者がこの業界は多いんですけど、情報発信の価値って別に「せどりコンサルで稼ぐ」みたいな短絡的なものじゃないんですよ。
このあたりは別記事でお話していますので、ぜひ参考にしてみてください。
情報発信ブログは稼ぐ手段じゃなく働き方を創る空間。僕がせどりから情報発信へ進んで感じた大きな価値。労働集約型のビジネスでは事業拡大に伴い自由を失うから
2つ目の理由は、せどりが労働集約型のネットビジネスであり、その事業規模を拡大するためには時間的自由や場所的自由を失う可能性があるからです。
労働集約型ビジネスとは、人間の労働力に頼る割合の大きいビジネスを指します。
例えば、ブログをマネタイズする場合、一度執筆した記事は放っておいてもネット上で多くの人に見てもらえる可能性あり、これにより労働力に頼らずとも収益を発生させることができます(その代わり難易度が高く収益化まで時間がかかりますが)。
一方せどりは、「商品を仕入れ、出品し、販売し、発送する」という全体の作業フローに対し一貫して人間の労働力が必要であり、その労働量次第で収益額も大きく変動することになります。
『せどりが労働集約型のビジネスである』という事実は、自由な生活を夢見て脱サラした人にとって大きなデメリットなんですよね。
せどり専業で脱サラし、このまま収益の最大化を図ろうと思えば、労働量を増やすために人を雇うという選択をとるでしょう。
人を雇い、組織を形成し、これにより労働量を増やしていけば、自然と売上が伸び収益は増加していくんです。
だけど、「組織を拡大して、販路も増やして、どんどん仕入れをすればそれだけ稼げる!」という思考のみで突っ走る人が多いのも事実。
ぼくの友人もその一人で、せどりで脱サラしてからというもの、4人の従業員を雇用し、事務所も構え、今や月の売上規模が1800万円を超えるほどにせどり事業が成長しています。
まあそれ自体は素晴らしいことなんですけど、その友人が最近ふとこんなことを言っていたんですよ。
売上を伸ばせば収益は増えますから、当然のように金銭的自由は拡大していきますよ。
でもね、労働集約型のビジネスで売上を伸ばすということは、組織を拡大するということであり、それは同時にその組織を管理する責任を負うということでもあるんです。
もしもあなたが今、漠然とせどり専業で脱サラを目指しているなら、もう一度「脱サラしたいと思った目的」に立ち返ってみてください。
「忙しかろうがなんだろうが、とにかく稼ぎたい!」というだけならせどり専業で組織を拡大するのもいいでしょう。
だけど、もしも脱サラの目的が金銭的自由だけじゃなかったとしたら?
例えば僕の場合、
「お金!お金!!」と金銭的欲求に前のめりになっちゃうと、会社内で虎視眈々とキャリアアップを狙って立ち回るのと一緒で、精神をすり減らす毎日を送ることになると思うんです。
だとしたら、まずお金よりも先に「これが好き!」って心底思える働き方を創って、それで自然と大きな収入を生んでいける仕組みが出来上がればいいんじゃないかと。
このあたりの話はプロフィールで詳しく語っているので、興味があればぜひ読んでみてください。
プロフィール僕にとっては、心底好きなライフスタイルが「時間や場所の成約を受けずに好きな人たちと絶妙な距離感で繋がり合いながら生きること」だったので、それならせどり専業って自分の理想と矛盾しているよなと思ったんですね。
もしもあなたが、この先の未来で僕の理想に近い生き方を目指していくなら、せどり専業に固執せず、例えば情報発信を始めてWebマーケティングやブランディングといったスキルを磨いておくといいです。
上述したように収益の分散にもなりますし、何より「ネット上において自分の地位を築き上げ、集客から販売までを自動化できるビジネス」であれば時間にも場所にも縛られることなく大きな収入を生み出せますから。
せどり専業では自分という人間そのものに価値が生まれないから
会社員の場合、満足のいく生き方って以下の2種類しかないんじゃないでしょうか。
満足できる生き方
- 仕事に収入が見合っている
- 収入は低くてもやりがいがある
仕事に収入が見合っているというのは、どんなに激務だろうと、どんなに面白くない仕事だろうと、給料が高いので「まぁいいか」と思える我慢型の生き方です。
一方、収入は低くてもやりがいがあるというのは、どんなに収入が低くても、仕事そのものが楽しくて生きがいを感じ、「この職場にずっといたいな」と思える開放型の生き方です。
会社員の目指すところって大抵この2つのうちのどちらかで、収入もやりがいも全て手に入るのは稀なケース。
会社に入ってみないとその会社の実情はわからないし、仕事に対する権限はあくまで会社が握っているわけだから、収入面もやりがい面も自分でコントロールできないのが難点ですよね。
ところが、個人起業を果たすと収入もやりがいも自分の思うがままに作っていける可能性があるわけで、そういう「会社員では不可能に近い収入とやりがいを両立する生き方」に憧れて脱サラする人が多いんじゃないでしょうか。
ここで、せどり専業という生き方に目を向けてみると、上述したとおり組織の拡大などによっていくらでも収入を伸ばしていくことはできますが、その一方でやりがいはどうですかね?
せどり含め転売ビジネスは、「ユーザーが商品を購入しやすい環境をつくる」という立派な役割があって、悪どいやり方をしない限りは間違いなく人の役に立つビジネスです。
せどりが世の中に役立つビジネスである理由|悪質な転売とは違う稼ぎ方をしよう。そこは誇りを持って堂々と取り組めばいい。
ただ、意地悪な見方をすると「商品を需要のない市場から需要のある市場へと移動させる労働」で終始してしまうのがせどりというビジネス。
これって言ってしまえば同じ区間を行ったり来たり走り続ける孤独なシャトルランをしているようなもので。
- 自ら商品を開発するわけでもない
- 誰かにサービスを提供するわけでもない
- 人の作った商品を移動させる労働作業
決してこれが悪いことではないんですけど、自らが生み出したモノやサービスて他者と関わり合う仕事ではないため、『他者から見た自分』の価値を高めるビジネスではないんですよね。
これからの時代、個の価値を高めることはとても重要。
❌ こんな機能だから商品を買いたい!
🔴 こんな人・企業から商品を買いたい!
圧倒的に後者の視点で商品が売れていく時代で、多くの人に興味を持ってもらえるようにネット上で個人ブランディングを確立することができれば、販売プラットフォームに依存しなくても商品は売れていきます。
「もうモノは売らない」という書籍で、元コカ・コーラのマーケティングディレクターのハビエル・サンチェス・ラメレス氏が「恋をさせるマーケティングが人を動かす」と語っていますが、まさしくそのとおりですね。
個人ブランディングで『人から興味を持ってもらえる存在』となり、そしてそんな人たちに対して、精魂込めて作りあげたモノやサービスを提供するビジネスが成立すれば、これほどやりがいのあるビジネスはありません。
例えば僕の場合、当Life Buffering Mediaの運営をとおして少しずつ読者ユーザーが増えていき、彼らとの関係の中でせどりコンサルを提供する機会に恵まれたのですが、これが大きなやりがいに繋がっていますね。
コンサルと言ってもサービスの形態は人それぞれで、「こんな内容なら楽しいだろうな」とか「こんなコンテンツなら起業を目指す人にとって有意義だろうな」といったように、自分の想いを乗せてコンサルを企画できるので、自分でサービスを創り上げる喜びがあります。
しかも、そうやって創り上げたサービスで収入を発生させることができたら、まさしくそれは自分自身に興味を持ってくれる人がいたということであり、コンサル生から「Souheiさんでよかった」なんて言われると本当にやってて良かったなと充足感で満たされますね。
やりがいも人それぞれなので決して強制する理由はありませんが、せどり専業でごりごりお金稼ぎに邁進する生き方でなくても、そのせどりの実績を活かして情報発信で自分自身の価値を高めていくという生き方もあるんだよってことです。
終わりに
以上、せどりを起点として脱サラ企業した僕がせどり専業の道を選ばなかった3つの理由についてお話しました。
繰り返しになりますが、大事なことなのでもう一度言っておくとせどりそのものは本当に有益で、どんなネットビジネスよりも短期に収益を上げることが可能な再現性の高いビジネスであり、これを脱サラ起業に利用しない手はないです。
ただ、その先の未来で「自分がどんなライフスタイルを送っていきたいのか」を考えたときに、せどり専業ではデメリットもありその理想が叶えられない可能性があります。
せどりをうまく利用して、自分なりの理想の働き方を創り上げていき、5年後も10年後も20年後も安定して生き残っていく起業家を目指していけるといいですね。